眠亭の事
クリスマス当日なんだけど、もう既に少々飽きたので、おとといのhitimeさんのコメントに触発されて眠亭の事など。
（読み返したら長いので、やめる人はやめてください。下北沢にあるラーメン屋の話ばっかりだから）
何を頼めば通なのかって、まぁいろいろとひねっていけば、天津飯の頭だけ*1とか、真冬の冷やし江戸っ子*2とか、いろいろあるけど、やっぱりラーチャン*3または江戸っ子ラーメン*4でいいんでないだろうか。
もしもあなたが育ち盛りの男子であれば、『ラーチャンの麺大』がお勧め。
大盛りとは言わず、麺大って言い切るところにコクがあると思う。
これはある日、とても空腹だった僕が、「江戸っ子ラーメンとチャーハン」って注文したら、それは勿体ないよ、江戸っ子ラーメンとチャーハンて２個注文するより、ラーチャンの１００円ましで麺大にすれば、一人前のラーメンが出るんだから。ラーチャンについてるキムチをラーメンに入れちゃえば、それで江戸っ子ラーメンなんだから、そうすればって教えてくれた親切な人が居た。麺の大盛りは１００円まし。
その人はグレース。年齢不詳の怪人。
なんだラーチャンの麺に付属のキムチを入れれば、江戸っ子ラーメンなのかと、幼い僕は始めて知った。それがきっと１０年程前。グレースはその時もいて、多分、今日も働いてる。
思えば僕が始めて眠亭に行ったのは８０年代のかなり前半。
田舎から来た学生は右も左も分からなかった。とにかく東京を把握しようと努力した方向が、今思えば恥ずかしいが、ラーメンの食べ歩き。
当時はあったアングルって東京タウン誌を片手にラーメン屋をハシゴした。
ぴあとシティロード*5は既にあったと思うけど、僕はアングルだった。このころからマイナー気質があったんだと愕然とするが、カウンター気質と言い直したい。
とにかくアングル片手に新宿にも行ったし、渋谷にも行った、名前にビビリながら銀座にも行った。でもやってる事はラーメンの食べ歩き。その頃の友達、勿論男子と一緒に、掲載されてる地図と首っ引きで歩いた。
今、考えると、地方から出てきた男子二人が、ラーメン屋をハシゴする姿は、どうも変だ。３杯目に臨む前に小休止、どっか喫茶店ないか、それもアングルで調べるって姿は、ありとあらゆる方向から考えて、モテそうにない。
４件目行ったのに、麺を半分残したり。なんだよそりゃ。一連の行為は、決して役に立ってるとは思えないけど、なんかにはなったような気がする。思い出以上のなんかになった。それは多分いい事だった筈。
そんな行脚の中で、下北沢の眠亭にも行った。
親父のスネ、お袋の味、その次にうまい、世界で３番目ってコピーには傑作だと思う。
勿論、アングルお勧めの「江戸っ子ラーメン」を食べた。
田舎から出てきて間もない僕は、これが江戸っ子の味かと、静かに感動した。
今考えると、江戸っ子とキムチはかなり遠い距離にあると思うんだけど。その時はそこまで気づかなかった。
今の会社で働き始めてからも良く行ってる。
ミッシェルの当時のメンバーと始めてご飯食べたのも眠亭だった。なんか鮮烈に覚えてる。満腹になった後、餃子が出てきた様な記憶がある。うまいんだけど、腹キツイ、困ったなって記憶があるけど、合ってるかどうか自信ない。
大阪のバンド餃子大王が東京でライブやる時は今でも大抵行く。
代々木にチョコレートシティってライブハウスがあった。店長のザビがよく言ってた。「バンドマンが働く店の代表は、西の眠亭、東のゴールドラッシュ」ほんとかなぁ。
眠亭でヒロトやノリオ*6が働いてたのは知ってるけど、渋谷のハンバーグ屋も対抗馬にあげるのは行き過ぎでないか。ローグのメンバーが働いてたから、ザビはそう言ったと思うけど。
僕もザビもローグは大好きだった。代チョコが無くなって、今アイツがどうしてるのかはサッパリ分からない。僕らが代々木でライブハウスやり始める事についても、ささやかな縁を感じる。
グレースは何年前からの知り合いだろう。もう良くわからない。
QUEでラフィンとハイスタが出た夜が会った。あんまり昔で何年だったか忘れた。この組み合わせでもそんなに人は入ってなかった。そんな昔。すいていると異色な客は目立つ。なんだか異常に暴れてる客がいるんですけどどうしましょうかって店員に言われて、見てみたらグレースだったので苦笑した。ほっとく事にした。
大男。声がデカイ。足が臭い。いいヤツ。やたらハードコアに詳しくて、そんな話をする相手もいないらしく、時たま出くわすと、その頃の話が延々続いてしまう。大抵はQUEの深夜、または朝まで。なんだろね、僕は実はグレース程には８０年代のハードコアを知ってる訳ではないが、何故か心地よく、付き合ってしまう。
眠亭の二階にいけば会えるんで、気軽に声かけるといいと思う。グレースって言うのが気後れするならグレさんでも別にいい。もう、だいぶイイ歳だし。
ううん、長くなったけど、読んでくれてありがとう。たまには昔の話でもしたい心持ちになって。ではまた。
