現ちゃんのこと

レピッシュ上田現さんが、昨日亡くなった。
会社とか個人あてに訃報が届くと、しんとしてしまう。小さな声になる。
でも、現ちゃんの事はみんなで大声で話して、そうしていつまでも忘れない事がいいと思うので、
僕もそうしようと思う。


レピッシュのメンバーとは多分86年の春ごろに出会った。
それからどうしたわけか、
FISH BONEの来日公演、渋谷公会堂の前後数ヶ月の間、スタッフとしてベタ付きだった。
ほんの短い間だったけど、とっても印象に残ってる。
現ちゃんを初めてみたときは、
「あっ、一人だけ僕より年上の人がいる」って思った。
あとで年を聞いたら、ほんとに年上だった。
いつも黒いジャケット着てたような気がするけど、後からの記憶かな。
個性だらけのメンバーの中でも一際異彩を放ってたと思う。
最初ちょっと怖いかもと思ったけど、とっても優しい人だった。
人なつっこくて、繊細で、人の気持ちを大事にする人。
変人て見られるとこもあったけど、常識に囚われない人って意味だと思う。
奇をてらって常識破りを楽しんでるとかではなくて、常識とされてることより、自分の目で見たもの、自分でやってきたことの方をずっと大切にする人だった。子供みたいに素直な人だった。
とにかく、とってもアーティストらしいアーティストだった。
僕の長い長い学生時代が終わる頃、彼らは事務所も決まってビクターとも契約した。
僕は別の場所で働く事になった。あっという間の数ヶ月だった。
その後も随分ライブは見せてもらった。
バンドなんだけどバンドでない感じ、バンドを越えちゃう感じ、
思えば僕はずっと昔からそういうバンドが好きだったんだなと思う。
現ちゃんは、レピッシュのそういう魅力の一番デカいとこを担ってたと思う。
ライブでも作品でも、そうだと思う。


昨年の20周年はひたすら嬉しかった。
東京だけ参加したんだけど、現ちゃんがいることを、一緒にステージにたってることを、
メンバーみんな喜んでた。お客さんも嬉しそうだった。
現ちゃんも嬉しそうだった。
そしてカッコよかった。現ちゃんとってもカッコよかった。


そんなに頻繁に会うような間柄ではなかったけど、ごくたまに、数年に一回バッタリ出会う事があった。
ライブの会場とか、楽屋とか。
はにかんだ様な、それでいて豪快な笑顔が好きだった。
あんな風な笑い顔する人見たことないなぁ。
あの笑い顔好きだった。


レピッシュのサイトにはhttp://la-ppisch.com/TOP.html
『本人の希望でもありますので、少しでも多くの方々にお見送りをしていただけたら幸いに存じます。』とある。
みんなで現ちゃんの話をするために、いつまでもするために告別式に行こうと思う。忘れたくない。


ご冥福をお祈りします。