ライブハウスはどこへいく

昔昔はライブハウスといえば、音は漏れるし、人は集まっちゃうし不動産屋に嫌われてしょうがない業種だった。
最近は「ライブハウス用の物件があるんですけど、どうですか」と、誘われることもたまにある。
たまにあるってだけなんだけど、それでも、時代が変わったなぁと思う。
業種として認知されるのはいいことだけど、その分、賃料もあがる傾向に。
下北にも来年、再来年とほうぼうでビルが立つみたいで、なんかザワザワしてる。
でもま、ここ5年くらいの感じでいうと、増えすぎてる気もしないでもない。
そういう僕らも3年前に代々木に作った。
どんどん出来てるけど、ほんとにそんなに沢山の出演バンドがいるんだろうか、
そんなに沢山のお客さんているんだろうかって心配になる。
出来ればいいって、時期は過ぎて、
こっこから先は、ハコが選ばれる時代に変わっていくんだろうと思う。
ナニ悠長な事いってんの、とっくに始まってるよって、店長諸氏に怒られそうでもある。


高円寺に出来たライブハウス「HIGH」を覗かせてもらった。
新しい臭いできたての臭いがして、いいなと思った。
新しい店特有のまっさらなやる気がスタッフの顔にも見えて、そういう感覚は新鮮だと思った。
始めてあったけど、サルーン店長がいい顔してた。
幅広い階段から地下に降りていくのも、天井が高いのがとってもいい感じ。
これから先に開店する店はこんな風に、特徴ある顔っつーか、その店ならではチャームポイントを用意しなくちゃならないんでないだろうかと思った。

歴史があるとこはいんだよね。
それぞれの歴史の重さと思い入れで、キッチリ成立してく。
シェルターの、ライブするスペース以外にはホントのホントになんもないギリギリに作ってみましたって
感じはとても好きだけど、この後誰かが真似しても、全く成立しないと思う。
天井の低さも入り口階段の混雑も、全く気になんないというか、「そういうもんだ」って納得する。
歴史と簡単に二文字で表されてしまうけど、
スタッフと出演者と入場客で、ずーっと長い時間かけてその場所の気を練ってきたんだなと思う。

さてさて、新しい店はなにを特徴に、何を武器に戦っていくんだろう。
外野気分でなく、当事者としてそう思う。

こないだ、別の店にいった。そこは始めていくところ。
内装もペインティングも、なにか自分たちの個性を主張してる。
ああ、こういうやり方もアリかなと思った。アリかなと思ったけど何かしっくりしない。
それはなんだろうな、誰かにはピンと来るものが、誰かにはピンとこないのかも。
いっそあらゆる意匠を捨てて、無機質なコンクリートの箱がいいのかと開き直ってもきっとそれは違う。
ではどうすればいいのだろう。
ま、宿題、宿題。
それが分かれば誰も頭を捻らない。そんな一発回答があったらかえって困る。真剣に考え考え抜いて、おずおずと実行してみると正解に近づく、それしかないんでないだろうか。そういう方がいい。

さらに別な店での話。
ライブやって打ち上げやって、もう一杯。カウンターに行って飲み物注文しようとしたら
「もうすぐ閉店です」
一時ちょいすぎだったので、随分驚いた。一時だったら充分じゃないかって、普通の感覚だろうけど、ライブやってからの打ち上げはどうしてもスタートが遅くなる。飛び込みの居酒屋ではないんだから、そこの店でさっきまでライブやってんだから事情は重々くんでくれていんでないかと思うのだが、そういうものでもないらしい。
当方のテーブルの気分としてはこれから核心をついた話になる気配だったけど、一気に醒めてしまった。
店のスタイルはいろいろ工夫があっていいけど、
スタイルの押しつけはあんまよくないなぁ。
なんて事も思って、皮肉とかでなく、貴重な勉強させてもらった。
それにしても、どこにいったらいいんだろうと思った。
困ったあげく「よい天」行ったら、珍しい事に閉まってた。深夜の拠り所なのに閉まってた。
すぐ近くの焼き鳥屋に収容された。