好き嫌いの向こう側

友達のS君のすすめで、とあるバンドのライブを見に行った。
なんだかあんまりピンとこないなあ。
S君は目をキラキラさせて見てる。
乗り気でない僕のほうがモジモジする。
ごくごく当たり前にそのバンドにもファンはいて、その何十人かはノリノリで。
ああ、僕はこの人たちとも分かり合えないんだあと、これは僕のほうが間違ってんだろかと、そんな気にもなる。
ちょいとばかり自分の気持ちの奥底の自分と対話してみるけど、やっぱり答えは同じだった。


「好き嫌い」は認める、「いい悪い」ってなんだ。
そんな事をずっと思ってる。
音楽にいい悪いってあるんだっけ。僕にはよく分かんない。
好き嫌いはあっていいよね。
となりの人と、そのまた隣の人とも共有できれば幸せね。


ピンと来なかった僕と彼らの距離はなんだろう、ライブの後ちょっと沈んで、別の友だちのMちゃんと飲む。
ベトナム屋にいって、ヘンテコな和風居酒屋にいって、ひとしきり。
時々すれ違うけど、好みの根っこは一緒みたい。
なんだろなこの感じ。
急に元気なる。
夜中一時、あと一杯だけ付き合ってとMちゃん。
いいけどね、いつもアンタと飲むと朝までなんだからそのつもりで来てるからいいけどさ、
ところで、手術で入院したのっていつだっけ。あれひと月まえじゃなかったっけ。
腸切って、超痛いって言ってなかったっけ。もういいの?
一杯だけならいいけどさ。
僕の縄張りから乃木坂に移動。なんでだ。
真っ暗で目が悪くなりそうなバーに引率されて、一杯。
暗い店内での明かりはテレビのモニターだけで、カウンターの向こうに何があるのかさっぱり分かんないほど暗い。
モニターのDVDはTHE WHO
カッコいい。
あーだこうだ言ってるうちにトーキングヘッズにしてくれだの、ジミヘンはどうだの、プリンスみて
午前3時くらいになると、カウンターの椅子から立ち上がって
「カッコいいー」と「おかわり」の二言しか発しないオヤジ二人。
あーあー、予想はしてたけど一杯だけで済まないじゃん。
せっかくMちゃんの奥さんからみた、僕の株が上がった時代が半年前にあったのに、これじゃ台無しかも。
ごめんね、次回は気をつけるから今日だけ許して。
最終的にはツェッペリン。古いんだけどさ、いろんな事が進化してるはずの今の人も勝てない何かがバリバリで、そのバリバリはなんなんだろうね、ロックなんだろけど一言で片付けるのは惜し過ぎる。
そんな感想もたなくてもいい、午前4時の乃木坂。
なんの結論もないんだけど、確信もないんだけど、少しの決意は出来たよ。
好き嫌いでいってみよう。しばらくは好き嫌いでいいじゃん。いけるとこまで。
そんな事を再確認して元気でたよ。サンキュ。