そして親子サッカー

結局昨日も夜更かしだったけど、酒量はなんとか自重したので、大丈夫でないだろうか。
朝早いけど、別に眠くない。二時間くらいしか寝てない気がする。
小学校の校庭に着くとすでに前のチームが試合やってる。
子供と親の混成チームを作るんだと思ってたけどそうではなくて、子供チームVS親チーム。
絶対子供には負けないって腕をさするお父さんもいたりして勇ましい。
でも、6年生のチームとかには大人もなかなか勝てなくなるんだって。
ウチの娘は低学年なんで15分のゲーム。
おお15分なんだってちょと気が楽になるけど、見てると長いんだよなあ、15分。
運動歴ナシ、文系。趣味は飲酒と読書。あらかた50才。
覚悟を決めるほどでもないんだけど、覚悟を決めて、
どう考えたって自分が上手いワケはないんだけど、せめてパパは頑張ってたなあって印象が娘に残ればいいんでないかと思う。
前の試合終わって、次のチームのメンバーが呼ばれる。ウチの娘もいる。そうか当たり前だけど、自分の子供がいるチームと対戦するんだな。
娘についていって、グランドへ、そしてなんとなく大人チーム編成。
お父さんが足りなくて、「お母さんもはいってくださーい」ってコーチが呼んだりする。
それでも数が合わない時はコーチが助っ人で入って、大人チーム完成。そうかこれだったら前日でも当日でも参加OKなのね。
いやぁ、あのですね、
15分長いっす。
もちろん選手の人も試合中ずーっと全力疾走してはないですけどね、行くときは行く、抜くときは抜くにしないと、とても持たないっすけど。
勝手もわからずやる気ばかりは満々なので、ずーっと無駄な走りをしてたら、あっこりゃだめだって瞬間は意外と早くやってきた。
ゴールライン際にコロコロ転がっていったボールを追ってる時に、
気持ちだけ前に進んでて足が追いつかない感覚があり
自分なりのトップスピードに乗ってる時は、下半身だけ慣性で進んで上半身が置いて行かれる気持ちになったりして、自分の体が自分でない。どうコントロールしたらいいのかわかんない。
あぁ運動会でお父さんが転んでるのってこういう事なんだなあって、不思議に客観的なんだけど、大ピンチ。
横を見るとずーっと走り回ってる、知り合いのお父さん、高木くんのお父さんは、そんなに息切れしてない。
胸筋はってて、臀部の盛り上がりとかもハンパじゃなくて、この人どんなスポーツやってんだろって聞いてみたら、
トライアスロンだった。なんじゃそりゃ。すげーな。そりゃ息切れしないわ。
ゲームは2対0で大人が勝った。高木くんのお父さんが2点いれた。
自分はというと、完全に息は上がってるけど、まんずまんず。なんとかチームには貢献してるような気がする。
上手くはないけど、声デカいし、ポジショニングに気をつけてればボールに触るチャンスはあるもんだ。
なんせ、相手は低学年だし。
でも低学年でも侮れない、すんごく上手い子もたまにいるんだなあ。おとなりんちの孫のカケくんとかは、かなりうまい。
ドリブルがスピードあんもん。僕も2回くらい抜かれた。やるなあおぬし。
ウチの子は、うーん。
基本的に男子チームだしね、そこに女子が数人なんでハンデはあげたいんだけど、頑張ってる子に比べると、ボールに向かう姿勢っていうか、欲みたいなもんが薄い。
だから触る機会も少ない。えらそに言えばプレーが消極的。
そんなんで面白いのかなあって思ってみてるんだけど、本人は至って面白いらしい。
ま、本人が楽しいんならいいや。でも、もう少し試合に貢献するといんだけどな。
でも、ガツガツ行かない感じってこれって、親似、パパ似とかって考えたりもする。わりいなと思うし、そう言うとこ似てて可愛いなと思う。
親子なんだなと思う。
15分終わって、息も切れ、頭もくらくらしてきたので、
「パパ帰るね」と娘にいったら
「ダメ」だという。
後半もあるという。
えっそういうもんなの、後半もあんの。迂闊だった。そういうもんか、そりゃそうだ。
後半もいるけど、見てるだけで出なくてもいいかって一応聞き直したけど、やっぱダメらしい。
パパとサッカーしたいんだって。
今はBチームの前半でグランド使ってるんで、そのあとCチームの前半、
それからウチの娘のAチームに戻って後半。
うん分かった。今日覚悟を決めるのは2回目。
せっかくだから、目標を立てようと思う。
娘にガツガツいけと言うだけでなく、パパもアグレッシブなとこを見せてみよう。言うより背中だ、なんて思って。
後半は必ず一点とってやるって目標をたててみよう。
えっあんたそんな事考える男だったんですかって、自分で自分にびっくりしたけど、きっと脳に酸素が回ってなかったのかもね。
しばらくしてAチームの出番になって、
前に前にいってたら、オフサイドとられて、
あら、親子サッカーにもオフサイドってあんだって、あたりまえの事にびっくりしたり。
こぼれだまをひろって思いっきり蹴ったつもりのシュートがボテボテで、しかも枠にいかなかったりって事も体験。
そしてある時、ゴール前にするっとパスが通ってきて、そこに走り込んだら、あらまホントきちゃったよ、
これって、よくテレビで見る決定的チャンスじゃんて思って、あまりにも決定的だと思うと体が固くなってどうしたいいか分かんない0.5秒。
野球で言えば、ど真ん中過ぎて見逃すって感じとは似てるのか似てないのか、野球やったことないから知らない。
とにかく一瞬ボーッとしてたら、後ろの方からコーチがでっかい声で「お父さんそこシュートです!!」
あ、そうだそうだ、ここシュートだ。
思ったより自分の足が遅くてボールが早かったので、慌てて足出してみた。無理して伸ばさないと足が届かないとこにボールいってて、股関節の奥のほうでピキッって音がしたような気がした。
そしたらね、入ったんですよ。
大人チームのみんながよろこんで、子供チームのみんなは「まだ時間あるぞ、いくぞ」とか言ってる。うわ試合みたいじゃん。
あ、このとき自分が娘だったらすんごい喜んでると思った。パパやるじゃんて。僕が彼女の立場だったら喜んだり泣いたりしてると思った。
空想から離れて実際の娘のほうを見てみる。なんか、そうでもない感じにみえた。ふーん、そうでもないんだろか。まあいい、おまえもガツガツいけ。
ゲームは3対0。大人が勝った。
いやあ、かなりくたびれた。
コーチの人とかはずーっと出ずっぱりだったりする。そりゃま、モノが違う。
お父さんくたびれました。今度こそかえります。ヘロヘロです。
娘は残りチームの試合を見るのがマナーなのでいる。
「帰るよっ」ていったら「じゃあね」って結構淡白なんだけど、それでいんだっけ。ものたりない。
昼間だったけど帰って寝た。
長女、次女、家内、三人後から帰ってきた。
土曜の午後、まだ明るいんでちょっと電車にのってクリスマス用の買い物に行きたいという。
情けないのだけど暫くは動きたくないのでパス。
ね、日頃の運動不足ってこういうトコに出るんだね。回復力。
夜になってみんな帰ってきた。
ご飯食べて、風呂入って。
僕が家に居るときは、子供たちを寝かしつけるのは僕の仕事。
大抵は幼稚園児の次女の方に添い寝するんだけど、今日は特別。
特別に聞きたいことがあったので、長女の方の布団に一緒。
どう見えてたんだろ、実際は。彼女の目から見たら。
おそるおそる聞いてみる。「ねぇねぇ、パパさ、カッコよくはなかったけど、がんばってはいたでしょ」
「ううん、パパはカッコよかったよ」
ちょっと泣きそうになったので、反対側向いて、布団かぶってまた寝た。