ちょっと怖い話

昨日ね友達と風知空知で飲んでたのね。
それでね、飲んでない友達に車で送ってもらって家に帰ったの。
トイレに行きたくなったんだけど少しの間だからいいやと思って、我慢した。
で、降りたら限界に近づいてて、家の鍵を開けるのももどかしい。
ウチの集合住宅はたまたまエントランスのとこに共用のトイレがある。
管理の人とかが使うのね。
そこに飛び込んで、内鍵掛けて、用を足して一安心。
出ようと思って鍵開けようとしても、
空かないのよ。
内側から鍵回すんだけど、なんの手応えもなく、スカッスカッと回るだけで、
全く鍵があかない。鍵かかったまま壊れてんのよ。開かないの。
いやぁ、びっくりしたよ。
コンクリートの壁と鉄扉に囲まれて、まさに雪隠詰め。
試しに写真撮ってみる。
一応、鉄のドアをドンドン立叩いてみるけど、なんの反応もない午前3時。
誰かに助けてもらおうと携帯取り出してみたけど、圏外。万事休す。
どうしたらいいって、どうしようもないんで、しばらくその事は忘れてみようと、
無かった事にしようと文庫本開いて3分。
何事もなかったように、鍵回してみたら、やっぱり、スカッ。
うーん、僕はここに閉じ込められて一生を終えるのだろうかと、さみしいエンディングだななんて考えてもみたけど、
そんな訳もなく、朝方、小学生が登校する時間までの辛抱かなと思う。
でもやだなあと下を向いたら、文字通り一筋の光明。
鉄のドアの下に2センチくらい隙間がある。
そこから携帯を外に滑らせてみたら、圏外ではないでないか。
頼みのツナのアンテナ一本立ち。
絶対に携帯を失わないように、ストラップの端を握りしめて、電話番号押して、隙間からさっと外に滑らしてみる。
ドアの外のことなので、よく見えはしないんだけど、
隣の吉岡さんに繋がった気配。
ドアの外にある携帯に向かって
「すいませーーーん。閉じ込められちゃったんで助けて下さーーい」ってトイレで大声だしてる光景は客観的にみればとても可笑しい光景なんだけど、それどころじゃなかったよ。
え、なんで自分ちに掛けないかって。
やっぱね、そういう時は手先の器用な人にお願いするに限る。
掛かったか掛かんないか自信ないまま5分待ってたら、外で物音がして、ドアが開いた。
ドライバーを手にした彼は、最上級に颯爽としてたよ。
やっぱ、こういう時は吉岡さんでないとダメなんだ。
しかし、怖いねえ。
自分が小学生だったら泣いてたよ。
大声で泣いたら誰か気付くのかなあ。
ま、あとで吉岡さんがネジの緩んでるとこみんな締めてくれたんで、当分大丈夫だと思うけど、これ怖いわあ。


あまりにもショックだったので、そのままでは寝付けずに、
もう一度下北に戻って『よい天』で、緊張をほぐして、それから家に帰って寝たのでした。