温泉
このところ毎年、年末から大晦日にかけては家にいないので、
正月は温泉にしてみた。
つってもそんなに遠くでないけど。
宿について、風呂入ってご飯食べると
もうする事がない。
持ってった本は簡単に読んでしまい、
なぜか鞄の奥底に人間失格。
なんだこりゃデスノートでいいのかって表紙のイラストに驚いてこれはねえだろと思ったんだけど、
ややあって考え直し、こうしてあの手この手でアイテムの息を延ばそうとしてるジタバタぶりは、
版元としての努力なんだなと思って、一票入れるつもりで買っといたのを忘れてた。
この努力、きっと大きな賭けだったと思うし、しかも充分に結果が出てるとも聞く。
頭が下がる。一票は入れるけど、真似するかどうか、出来るかどうかはわからない。
そういえば、学校の先生が
「学生の時に太宰治に触れないようではつまんない。大人になって太宰から抜けられないのもつまんない」
そう言ってた。
なんだか心に深く残ることばではあった。
僕としては、始めて行ったロックコンサートが、駒沢大学の学園祭。
RCとシーナ&ロケッッツ。今時は使わないジョイントコンサートって言葉が当たり前に使われてた時代、
そこで感じた衝撃からまだまだ抜けらんない。
それはそんなにつまんなくないよ。
あれ、なんかずれた。違う話がごっちゃになった。
それはそれとして、
人間失格は温泉場の夜中に読む読み物としては到底無理があり、
家族団らんのさなかに広げる本では全くなく、
冷蔵庫からメチャ高いビールを取り出し、なんでコンビニ寄るの忘れたかなぁなんつって、
4本ほど空けてようやく寝入ったり。
たまにこうしてのんびりしてると、
一生のんびりしていたい気もする。でもきっと気のせい、それも分かってる。
昔読んだ話で、
日本から赤道直下の南国に工場造りに行った人がいたんだって。
現地の人がほんと働かない。なにしろヤシの木が一本あれば一生喰いっぱぐれがないようなとこ。
日本人がいう「なんでみんなもっと働かないんだ。働けばもっと楽になるぞ」
「楽になるってどういう事なんだ」
「収入が増えるんだよ」
「収入が増えるとどうなるんだ」
「働かなくてよくなるんだよ」
「じゃ、今と一緒じゃん」
まぁ面白い話だけど、
楽になりたいからとか、お金を増やしたいからって事だけで、人は働くのではない。
ちょっとの、のんびりは結構嬉しい。
ずっとのんびりしてると、すぐに退屈に変わるのは、そんな理由からでないかと、夜中に考えた。
多分正解でないかと。
すぐに今年が始まる。