仕事は難しい

昼頃に、僕より一回りも上の先輩から電話があり、
「夕方、お時間いただけないでしょうか」ときた。
大体において、年上の人がヤケに丁寧な言葉を使いだす時には、
ロクな事がない。
案の定、既に完パケで納品されているブツを、手直ししたいというか、
つまりはやり直したいって事だった。
あらら、これでGOって事だったのに、なーんつっても始まらない。
先輩も、残念至極。彼にとっては快心の出来だったんだけど、それだけでは進まなかった。
この仕事ではいろんな人がいろんな場面で関わる。
アーティスト本人はもちろん、マネジメントのスタッフも、レコーディングのスタッフも、
演奏するメンバーも、もっともっと沢山。
そして、みんなが「もっとよくするために」いろんな事をいいあう。
誰かが誰かの邪魔をするために、言ってるんなら話は簡単、「お前黙れ」と言えばいい。
そうではなくて、みんながよかれと思って言ってるのが、かなり困る。
そこで、先輩がポツリと漏らしたのが
「いやぁ、仕事って難しいね」
僕はその言葉がもおすごくツボにはまった。
僕よりはるかにベテランでも、やっぱそんな事思うんだ。僕なら思っても当然だ。
簡単な事ばっかやっても、飽きちゃうし進歩もない。
難しい事にチャレンジして、たまに失敗して、たまに成功して。
仕事はやっぱり、難しくて面白い。