専門店

ここんとこ急にいろんなバンドを紹介される。
なんだか「時間ありますか」って聞かれて、無いですっていうのも、
自分的に悔しいので、出来るだけ時間は作ってお話させていただいたりする。
しっかしまあ、いろんな人がいるもんで、
僕ら以上に僕らの事研究してる人もいたり、
もしかして、この人が地球で一番代沢レコードの事考えてんのかもしんないなって、思う人もいたり。
そうかと思うと、全く何にも知らないでやってきて、メジャーのレーベルでないことに始めて気づいて驚いてる人もいたりして、
ほんといろんな人がいるなぁ。


アーティストのタイプもいろいろ。
今でもいろんなタイプのアーティストのCDをリリースさしてもらってるけど、
そのバラエティの幅を軽々と超えてしまうアーティストにもよく遭遇する。
話は分かるし、熱意も伝わるけど、一体僕らは何をどうすりゃいいのかさっぱり分かんないって事も多い。
「音楽は音楽だから、なんとかなんじゃん」と軽ーく考えられればいいんだけど、
やっぱ、なんとくなく得意ジャンルとか方法論とか、身につけた勘とかあるもんね。
例えば僕らのとこに尾崎豊のデモテープが送られてきたらどうだったんだろう、
宇多田ヒカルでも、TRFでもTOKIOでも。
いやいや送るつもりもないだろけど、もしそんなデモテープ見たらどう思うんだろ。
相当に自信ない。それは眼力不足というだろか。


この仕事でよく言われるのは「出会う力」と「育てる力」。
両方あるのが理想だけど、実は「出会う力」だけでもなんとかなったりするんだよね。ほんと。
いくつものアーティストに出会ってる筈なんだけど、出会っただけで単にすれ違っただけの関係で終わった人もおおい。
その後、大発展したアーティストもそりゃたくさん。
自分たちを、なんでもある大食堂でなくて、カレーの専門店だって規定すると少しは考えやすくなるんだけど、
そもそもカレー屋ってなんだ。
すでに、カレーうどんも、カレースープもおいてあるような。
たぶんハヤシライスもある気がする。ハンバーグカレーとかはもちろんね。
なんでそこにハンバーグライスはおいていけないんだ。



得意不得意もあるし、好みもある、タイミングもある。
あまりに大規模なプロジェクトすぎて手に負えないと感じる事もある。
もとより全部は出来ないんで、丁重にお断りする事もあるんだけど、そんときいつも思う事。
どんなバンドでも、必ずファンはいるんだね。多くても好くなくても必ず。友達だって肉親だっていいじゃない、好きなら。
そしてスタッフもいて。僕らのとこに持ち込んで来るスタッフは当然のことながら、
そのバンドの事好きで好きしょうがないんだよね。
やってる本人も当たり前に自分のバンド好きで。
甘ちゃんかもしんないけど、そういうの目の当たりにすると、なんでその「好き」を共有できないんだろうって気になる。
結局、やってる事は音楽で、やってる人は人間じゃん、なんて。
ちょっと大げさすぎかしら。
違いがあるから人間だ。だから面白いんだって、高校の時の現国の先生が言ってたなあ。
それとこれは同じ話?違う話。
同じ事で笑えて同じ事で喜んで、同じ音楽を楽しめるといいんだけどなあと、思うけど、
どうなんだろうか。
とかいって、うちの田舎のオヤジとオフクロに、ポリや銀杏聞かせる勇気はない。
聞いてよつってもね、好きとかそんなレベルでなく、その会話は成立しない確信あるもんね。
中学の時は一緒に松山千春の1st聞いたりしたんだけどなあ。それはそれ。
たまにではなく、結構いつもそんな事思ってる。思ってるけどその大きさが大きくなったり、小さくなったり。
手前にでたり、奥に引っ込んだりしてんだよなあ。
分かりやすくパキッとした結論なんて、ありっこ無いんだけど、いつも考えてる。
解決しないんだけど、解決しないそのあいだはカレー屋でいいか。
蕎麦を食べたい時もそりゃあるけど、それは自分の店でなくて、よそのウマい蕎麦屋にいけばいい。
それも楽し。


だらだらと、とりとめの無い話で失礼。
なんだかこれ、日記みたいだなあ。日記でいいのか。