キャベツは原盤制作費?
レコーディングにまつわる経費一切を総称して原盤制作費っていう。
主なものはスタジオ代。
これ実にピンキリで、1日5万円のとこもあるし。30万以上のとこもある。
日数で言えば、三日でフルアルバムの人もいるし、一ヶ月かけて一曲の人もいる。
上も下も際限がない。
常識的なとこでいうと、
一枚のアルバム100万円から1千万円。主にスタジオのグレードと日数によって変化する。
十倍の開きがるじゃないかって、そうなのよ、でも100万も1千万円も常識の範囲内。
これおかしいね。
さらに、困った問題があって、
2千万かけたアルバムと、100万円のアルバムで、
どう聞いても100万円で作った作品の方が魅力ある時がある。
うーん、それは困った。
そして、そんな事が往々にして起こる。頻繁に起こる。
ね、困るよね。
他人事みたいにいってるけど、切実っす。
スタジオ代の他には、楽器の使用料とか、エンジニア料とかいろいろ。
あとね、食事代。
これはいろいろ意見が別れるところ。
食事代は自前のレコーディングも多いし、原盤制作費に入れてしまう場合も普通。
さてさて、レコーディングはずっと同じとこにいる。
同じ場所で12時間なんてざら。そんな事が一週間とか一ヶ月とか続く。
同じ場所に長くいると、タバコとか吸いたくなる。
最近はタバコ止めてる人多いね。
そんな人はガムとか飴とか。
スタジオに常備してる飴をいつのまにか日に5個とか食べてると、口の中が気持ち悪くなったり。おかきとかポテチとか食べ過ぎたり。
で、昨年のレコーディングで、ウチの女子社員アリサ25が画期的なアイディアをスタジオに持ち込んだ。
食べやすい大きさに切った生のキャベツ。
これが大好評で、最初は塩とマヨネーズだったんだけど、日に日に調味料が増えてくる。各人のご家庭からお気に入りのドレッシングとか、タレとかが持ち寄られる。
飴でもガムでも得られなかった爽やかさが得られる。なにより、カロリーが無さそうだ。
無意識に大量のキャベツを取ったおかげで、
「最初はやたらお腹が張ると思ったんだけど、その後一気に便通がよくなった」と健康食品のCMの様な感想を漏らす人まで現れた。
そのレコーディングは終了して、
同じスタッフが集まって、次またやるのね。
発案者は今回は参加せず、キャベツはスタッフの岩ロックまたは百井が用意する。
で、僕と岩と百、三人してふと思ったんだけど、
キャベツは一体ナニ代だろう。
誰かに請求できんのかな。
原盤制作費に「キャベツ代」って書いてあったら、会社の経理の人はどう思うんだろう。
出前は普通だけどね。キャベツだからなあ。
一ヶ月のレコーディングだったら、キャベツが30個だよ。1日1個のキャベツのレシートは原盤制作費でしょうか。
どうだろう。
ま、金額はたいした事ない。でも金額がたいした事ないからといって、おろそかにできない。仕事のフォームはしっかりつくんないといけないとなんとか、大事なのかしょうもないのか微妙なラインの話が続く。
さりとて、メンバーやスタッフが当番制で一個ずつキャベツ持ってくるのも間抜けじゃない。ギターと一緒に。
前どうしてたか、アリサ25に聞いてみよ。
ところで、全国のディレクターのみなさん。飴やお菓子の替わりにキャベツ。かなりおすすめっす。
フロントマンの体重が気になるマネージャーの方にもお勧めするっす。マジっす。