親子サッカー前夜(やっぱ出るんだ)

事の起こりは10日ほど前。
小学校の低学年クラスでサッカークラブに入ってる長女からの誘い。
「13日は親子サッカーなんだよ。パパ来る?」って言われて、
土曜の午前中の事なので、もとより仕事も入ってない。
いや、暇ではあるけど。時間はあいてるけど。
でもさ、全力疾走したことなんて、もう何年もないと思う。立ってる自信もないよ。
しかし親子サッカーって単語が初耳だ。どんなもんなんだろう。どんなレベルでどんな光景なんだろう。
見に行くだけならいいって答えたけど、パパも出ればいいって、ここぞとばかり家族全員に責め立てられる。
「パパはなんでややりたくないの」
うーん、説明するのがめんどくさいので、
「キャラじゃないから」
って答えといた。「キャラって何」とは聞き返されず、家内、長女、次女と僕の四人の間に、ムッとした沈黙が流れる。
それが10日前。
長女の中では大イベントらしく、あの会話だけでは終わらない気がする。
どこそこのパパは出るとか、イチイチ言ってくる。
長女はそんなに感情をパーッと押しつけてくる子ではなく、どちらかというと淡白な風なんで、表面的には分かりにくいんだけど、かなり望まれてる気配。
会社の社員にも相談してみる。この件を相談してみる。自分は一体どうするべきか。
数人に相談した結果、若手株アリサ25が一番的確な事を言ってた。

「子供がサッカーやってるお父さんは自分もやってたりするんですよ」と彼女。
「そうだよねそうだよね」
「小学生のお父さんなんだから30代の人も多いでしょ。」
「うん」
「20代のお父さんだっているかも」
「いるかもね」
「今何歳ですか」
「えー。あらかた50です」
「最近サッカーやりました」
「えーと最後に友達とやったのは1982年ころ」
「娘さんはね、やっぱりパパが出るなら活躍して欲しいんですよ。パパかっこいーーってなんないといけませんよ」
そうかそうか、そうだよな。
そのとおりだと思う。
「いいとこ見せられそうもないんだから、出ないほうがいいよね。」


「でも、きっと出ますね。結局は」
「えっ、でんの。一応断っといたんだけど」
「いや、最後に本人からもう一回頼まれたら出るでしょ」
「えっ、ココまでの流れでは絶対出ない方向じゃない」
「最後のお願いされたら出るでしょう」
「出るかなぁ」
「出るでしょ」
オメエは予言者か。


その通りになった。
昨日の朝、珍しく一緒に朝食べてた。
大阪サンゲタンから車で帰ってきて家についたのが朝の八時だった。なんてタイミング。
納豆などをもぞもぞ食べてる時に、テーブルはさんで真正面に座ってる長女から
「やっぱり、パパと一緒にサッカーやりたいなぁ」って言われたので、
「うん、分かったよ」と言ってしまった。
どしてもどしてもって声高に主張するんでなく、ほんとにポツリと言われたので、
かえってその方がかわせなかった。
絶対に出る事になるって予言してたアリサ25は
「こそ連っすよ。こそ連」ってさらに的確なアドバイスしてくれたんだけど、
前日だからもう誘われないって油断してたんだよなぁ。いまからどこで練習するんだ。
出場締め切りとかあるんじゃなかと思ってたんだけど、そういうもんでもないらしい。
そうか、ここで決まるかあ。
ちょっと緊張してきた。
明日は早いので、早めによい天に行って長居せずに帰る。
朝が早いんならいかなくていいのにって意見は勿論きくけど、懸案だったイノシシが届いたので、持ってく。今日は持ってっただけ。
夜の12時ころに携帯がなってバズラの鉄平だった。
「今下北なんですけど、どっかで飲んでないすか」
飲んでないよ。自分のパブリックイメージはどんなんだって反省する。いっつもそのへんの時間ならその辺で飲んでるって見えてるんだろうなと思う。当たってるけど。でも今日はダメっす。ゴメン鉄平。早寝するから、とかなんとか。
でも睡眠のリズムっちゅーか習慣もあるからね。結局寝たのって5時くらいだったんだよなあ。