924

渋谷アックス
THE NOVEMBERS
serial TV drama
syrup16g

こう書いてみると、素敵なイベントだった風に思える。
あと何年かたってから、
マジかよこんなイベントあったんだって、そう言われるように、
それぞれのバンドが歴史を作ってくといいなぁと思った。
特に新人の二組にはことさら。

THE NOVEMBERS、4曲。
serial TV drama、5曲。
曲のなりたちや佇まいはこの二組では大きく違うのだけど、今日ここに出てきた意味合いは、「ああわかる」。
僕の目にはそうみえた。
THE NOVEMBERSの、メラメラ燃えてる炎は一切ない爆発、爽快感はあんまりなくて、ズンと胸に溜まっちゃうような感覚、
それが好きなのか嫌いなのか自分でも回答しにくい。そんな気持ちをはっきりさせたくて、も一回見たくなるような、そんなステージだった。
シリアルはアックスみたいな舞台の方が、いつものライブハウスより似合ってるんだなと思った。
力強くて透明な声がいいな。メンバーが立ってる景色がもうそれだけで、結構いいもんね。
何回もみてるけど改めてそう思った。


今年は二組の新人が出てるので、なにか一日中、落ち着かない。
924の中では今年が一番落ち着かなかった。
やるのはバンドなんだから、バンド自身なんだから、出来る事をやるだけなんだから、
僕が心配したって、ソワソワしたって、何の役にもたたないんで、やめればいいんだけど、
理屈ではそう分かってても、落ち着かない。
二組はそれぞれ今出来る事をやって、今出来る事よりもうちょいと先の事やった瞬間も、
やっぱ、あがってるんだなぁ惜しいなと思う瞬間も残して、ステージから降りていった。
堂々としてて、若いバンドらしく溌剌としてて、だいぶいい感じだった。


あとはシロップだけだと思うと、
こっから一日が始まるような、違う一日が始まるような、そんな気がした。
野音以来か。
なにしてたんだろな。
それがこれから分かると思うとドキドキした。
スリーピースのシロップはずいぶん久しぶりだ。
マイナスって印象よりも、研ぎ澄まされた感じが強い。
スリーピースのシロップも相当いいなと思った。

いつものようにSEなくて、ゾロリと登場。
あやうく見逃すとこだった。
へぇ「I.N.M.」からなんだ。
あ、古いけど新曲、とかいろいろ思いながら見る。
前半始まってる。おおやってんなあと思う。
でも、なんだか気持ちがしっくりこない。
これなんだろうな。編成のせいではない。
シロップが妙に若返ったような気がする。やんちゃでニコニコして元気な気がする
そうだっけ、違う。
妙に老けたような気がする。ヨボヨボじゃ口悪すぎだ、枯れてみえる気もする。
どっちなんだ。
どっちかじゃなくて。
どっちもあるような気がする。
え、ほんと。そうだっけ。
シロップってこういう感触だったっけって、ずーっと見ながら考えてた。
いやじゃないんだけど、違和感がある、これってどういう事なんだろう。



シロップのいいとこは、曲聞いてるとぼんやりしてくる。
熱心なファンじゃないからそう言うこと言うんだって、かたづけられたら、それで終わりなんだけど、
CD聞いてる最中でも、ライブの途中でも、なんだか全く別のこと考えたり、ただただぼんやりしてたりする。
じゃ、その場にいなくていいだろって、そういう事ではない。
その場にそうしていたくなる。


後半、どこかで何かのスイッチが押された。
メンバーなんだろか、客席なんだろか、それとも自分自身の内側でしか起こってない事だったのか、定かでないけど、
アックスの中の温度が一気にあがる。
メルティングスポット。
あんたが誰かも分かんないし、自分が誰かも分かんない。
ロックの醍醐味だと思うんだけど、「持ってかれちゃった」感覚。
自分の立ってるとこも、さっきまで考えてたことも、なにもかも、根こそぎ持っていかれてしまう感覚をまた味わう。
「天才」のあたりだっけ。
こういう事が出来るのも、シロップだからだなあと思う。
上手いからそうなるんじゃなくて、熱いからそうなるんじゃなくて、年季が入ってるからでも、プロだからでもない、
シロップはシロップだからそうなんだと、だからシロップなんだって、
全く意味不明の三行が頭の中にこびりついてるんだけど、これは通じてますか?


見に来てた25才くらいの彼は
アンコールでやった「She was beautiful」がハイライトっす。
と言い切ってた。
そのとなりの中年の彼は「シーツ」だと言う。
まぁまぁ。それぞれで。

アンコール2曲やって帰って行ったと思った。
『本日の公演はすべて終了しました』って陰アナも入ってるし。
でも、ほとんどお客さんは動かない。これは一体なんなんだろうなと思う。ホントは分かってる気もするけど、なんなんだろうなと思う。
さて、どうやって終わるんだろと思ってたら、
メンバー登場して「落堕」。
五十嵐くんがギターも持たずハンドマイクで仁王立ちするのも、ひさしぶりに見た気がする。
ひさしぶりでもないか、
でも、今日はスリーピースだから、完全にドラムとベースしか音がなくなってるから、
その光景は、前にもみたかもしんないけど、衝撃的。
すんごいカタルシスだった。

やっぱシロップはすごいなあ。今日も持って行かれてしまった。戻ってこれるかなぁ。
前半味わってた感覚ってなんだったんだろう、解決もしてないし、今となっては感触を思い出せもしない。分かんないもんは分かんないでいいや。


終演後にちらしがまかれて、
END ROLL
12.3(月) なんばHATCH
12.4(火) クラブダイアモンドホール
12.9(日) NHKホール

終演後に初めてそのチラシみた訳じゃない。
いつ見たかっていうと、その日のお昼。楽屋で見た。だからあんまし、お客さんと変わんない。
チラシ見て、手帳に三カ所、丸つけた。その行為も変わんない。
ここの楽屋の雰囲気は独特なんで、あんまし喋れないんだよね。
聞きたい事はあったけど、聞き漏らした。そりゃやっぱ行くしかないんだなと思った。


一番緊張した924だったけど、
終わってみればとってもいい日だった。
なかなか忘れられない一日になった。
この先も、それぞれのバンドがそれぞれの歴史を積み上げますように。それが痺れるような歴史でありますように。