10年目の夏
HIGH LINE RECORDS 10th ANNIVERSARY
16日にゼップでハイラインの10周年イベントがあった。
今日は、代沢レコードの人としてでなく、ハイラインの人として感想なぞ。
長いですから注意してください。
ハイラインのブログにもポラとセットリストありますんで、そちらもぜひ。
http://blog.livedoor.jp/highline/archives/50328337.html
オープニングアクトでUNISON SQUARE GARDEN。
早耳の人にはそうでなくても、世間的にはかなり新人。
これって大丈夫かなと思ってたら全く問題なかった。
それは今日集まってくれてるお客さんの感じに負うところも大きい。
どのバンドか一つ、あるいは二つ、そればっか楽しみにしてきたって事でなく、このイベント丸ごとを味わってやろうって、そんな空気が確認できて、
あ、こりゃ今日はいい日になるんだなと思った。
今日はハイラインにゆかりある人が出る日なんだけど、
ハイラインがいつもやってきたように、これから物語が始まっていくバンドと何か一緒にやりたかった。
ニューカマーだったら誰でもいいのかって言うと、実はそうでもなくて、
後に控えてる蒼々たるメンツと張り合える人がいい。
そんな訳でユニゾンで良かった。
妙に緊張する事なく。思いっきり楽しんでやってる風情とそれが受け入れられてるさまは、なんだかいい予感がした。
開場時からDJは大仏ブラザース。
急遽きまったDJだけど、快く引き受けてもらえて、いかったなぁ。
つるっとした普通のイベントにはしたくなかったんだけど、
今日ならではの空気を出したいと思って、大仏。
おかげで、つるっともさらっともしなかったように思う。
同じように、MCのマスザワくん。
ハイラインゆかりでMC出来る人つったら、彼以外にいなくて、バンドでなくてMCでって、とんでもなく失礼なお願いを引き受けてくれた事に感謝。
そして僕らが思ってた以上に真摯に、ガッチリ盛り上げてくれた事にももっと感謝。
本編のトップはhare-brained unity。
こぼれ話になるけどさ、
実は今日のイベントの発端はヘアブレだったんだよ。
ライブハウスで8日間やった10周年シリーズを受けて、
大きな会場で一発やろかつってたら、何も決まらないウチに
ヘアブレだけ参加表明。
なにも決まってないけどヘアブレだけは出るって決めてくれてた。
それは実は6月の某日の予定だったんだ。
会場も日程も仮にだして、それぞれのアーティストに連絡したら、
見事に全員NGだった。
ワンマンとぶつかってる人、日本にいない人、レコーディングの人、
みんな出たいけど、スケジュールがつって、とっても残念そうだった。
決まってるのはヘアブレだけで、彼らはやる気マンマン。
やる気マンマンでも、ヘアブレだけっつーわけにはいかない。そんなこんなで一旦すべてを白紙に戻してみたんだけど、
どうもヘアブレの男気には報いなくていけないって気持ちが残って、7月で再トライ。
まずはヘアブレのスケジュール押さえて、他のバンドに連絡して。
なかなか他のバンドから答えがかえってこない時期があり、またしても
「うわっ、ヘアブレだけ決まってる」あれ、そんな状態って先月もあったけど、デジャブかしら、なんて思ってた。
その後、なにかがすーっと動きだして、
あとはトントントントン。
こういう事ってあるんだよなあ。全然動かないと思ってた固い結び目が、ちょっとしたきっかけでほぐれて、そのあとあっけないほどスムーズに転がっていく。
そんなきっかけをつくってくれたのがヘアブレなんだよなぁ。
素敵なステージ見せてくれた。
客席に笑顔が絶え間なく、ゼップでもやっぱミラーボールは回ってて、
いつもと同じなんだけど、やっぱり少し違う彼らを見て、
晴れ晴れして、かなりイキイキしてる彼らみて、
イベント成立までの道のりを思い返したりした。
で、一転
LOST IN TIME。
急にステージの人の格好が黒々しい。
今日は4人のステージで、なんかやけに男っぽい。
ロストがなんやらお祭り風な曲をやりにくる筈もなく、
いつもと同じ、しっかりと聞かせる曲をやりに来た。
ミディアムでもアップでも、どうしようもなくせつないもんね。
真ん中でやった、「最後の一球」とかもうピタリと静まりかえって、これすごい景色だなと思った。
こんな空気感を出せるのがロストなんだなって、改めて思った。
そういう魅力もハイラインにはきっと必要な魅力で、
そんな意味で、今日のイベントにぐっとハマってた。
余計な事は一切なくて、
シンプルに丁寧に、曲を届けに来ましたって、その姿勢はいいなぁ。
春先だったかな、ウチの会社のスタッフが結婚して、
そん時のパーティで海北と源ちゃんで一曲演奏した。
僕や他の誰かも、スピーチみたいな事はしたんだけど、
どんなに言葉をつくしても、目の前で本気で歌ってるのにはかなわない。
おめでとうとか、一切なくてもいい、仮に全曲悲しい歌ばっかでもいい。
どんな気持ちでやってるのか、目の前に立ってるその姿を見れば、
すぐに分かる。
すぐに伝わる。
そんな事を思い出した。
次がBUMP OF CHICKEN。
ハイラインらしい、ハイラインらしすぎるゲストつったらバンプしかないだろうって、そりゃ思うけど、
ほんとに出るんだろかって、僕ですら思ってたんだけど、ほんとに出たんで、僕もびっくりした。
だって、もう1年半くらいライブやってなかった人がさ、突然出ないよなあ。
とか思ってると、ハイラインの10周年なんだからそりゃ出るっしょ、みたいな事言ってくれる。
なんつってもさ、単純にバンプはバンプだった。
僕らが思う以上にバンプだったよ。
あのロゴも、SEもさ、一体何年前から変わってないんだ。
ステージに出たら、当然のように「ガラスのブルース」歌って去ってく。
ハイラインとの出会いの頃の曲だ。なんも言わなくても当たり前みたいにハイラインのイベントに出るんだから、これやんないわけないっしょ、みたいな雰囲気でやるんだよなあ。
呆れるくらいに、出会った頃と同じフランクさで、単にバンプだった。
本質は何も変えないっつーか、なにもぶれないっつーか、一回信用したもんはずっと信用するっつーか、とにかくそんな姿勢をキープするのは、決して簡単でないと思う。実はもの凄く大変な事だと思う。そして、さして苦労ない風に、あっさり、自然体で実行して見せる彼らは、とんでもなくタフなんでないだろうか。そこにすごく感動した。
シークレットだった事に異論を持つ人もいるだろうけど、
ハイラインのイベントに来てくれた人への、びっくりプレゼントとしては最もイカしてたんでないだろか。
たまたまそうなった。僕はそう思ってる。
次がランクヘッド。
サプライズの余韻醒めやらぬ中、出てきて、そりゃ正直やりにくかったと思う。
でもそれを全身全霊でひっくり返したのがランクだったと思う。
こっから後半戦。
今日の流れを決める重要なポジションにいたと思う。
ここまで見て充分満足する人も多かったと思うけど、
でもまだまだ、こっからだよってメッセージを投げかける役割をランクが背負ったと思う。
誰かはその位置に座らなければならない。誰でもいいなら偶然だけど、
その位置にいたことに意味を持たせられるアーティストって、ホントは少ない。
だから必然だったんだと思う。
それを十二分に実証したと思う。
何が起こってどんな風だったのかは、うまく言えない。
ライブの醍醐味って、そういう事だと思う。
その日、その場にいた人にしか伝わらない事もあるんだって、だからライブなんだって、
こんなに長いコトずらずら書いといて、それはないぜって声も聞こえてきそうだけど、でもそうとしか言えない。
普段着のランク見たかったって人もいるだろうけど、
鬼気迫るほど、ありったけの熱量を放出しないと成し遂げられない事もあるって、思う。
全くうまく言えてないけど、この日のランク見てそう思った。
打ち上げでも今日のベストアクトにランクあげる声も多かった。
いろんな人のいろんな感想があっていいけど、その話にもうなずける。
そしてFULLARMOR。
しみじみとFULLARMORが出れて良かったと思う。
要するに忙しい人たちだもんね。
これも一つの奇跡だと思ったよ。
ハイラインのイベントにFULLARMOR。
ばっちりハマってる。
下北系って言葉はあって、ハイラインはきっと下北系なんだけど、
このイベントにFULLARMORが出てるって、それだけでぶち破ってる気もする。
そりゃ人的な交流はあるけど、近所にすんでたりとかいろいろあるけど、
特に縁のあるのはドラムのOniyだったりはするけどさ、いやあ、ポンっとライブ見たら、素直にカッコいいなあって、音の中身の話だけでいんでないだろうか。
カッコいいよ。
もうさ、ドラム見てるだけでもご飯三杯食えるよ。ホントだよ。
ベース二本て何すんじゃって、ひなっちとイザワくんで何すんじゃって、見てたらさ、これがまた腹立つぐらい堂々として、あっ違う、見た目のことじゃなく、プレイがね。
ホリエくんギターじゃねえんだキーボードなんだってびっくりして、ちょいとクールで熱くて。ズローン、ズビーンって。
なんだろね、このバンドと思った。今あるような、いや25年前の出来事のような、FULLARMORって一体なんなんだよって、思った人は聞いたほうがいいっす。
こんなバンドが突然現れて、やりたいようにやってくって、
なかなか僕らが住んでるこの時代って、素敵なんでないかって思ったよ。
最後はポリ。
これもね、さっき言った様な話するけどさ、
誰かは最後に出るんだよ。
「イベントなんて頭に出てサッとやり逃げするのがいいんだよ」なんて嘯くバンドもいるけどね、でも必ず誰かは最後に出るんだよ。
特に今日みたいに、誰がトリでも納得出来そうな日は、よけいにやるのがしんどいんだ。
バックステージの話をすれば、朝も早よからゼップに入って、リハして、出番までの待ち時間はタップリ。
買い物したり、観覧車乗ったり、ハンバーガー買いに行ったり、
こう書くと平和そうに見えるけど、待ち時間持て余してるんだ。お台場滞在10時間超。
もしかしたら自分の出番の時にはみんな帰ってたらどうしようとかも思うんだ。
で、たっぷり待って、そして全快のテンションで
「ハイライン オア ダーーイ」って言うんだよ。カタカナで。
身内だからね、失礼を承知で言うけど、
ポリが最後で本当に成立すんのかしないのか、さっぱり確信はなかった。
そしたら、僕らが思ってた以上に成立してた。
イベントの最後にふさわしい、10周年の記念イベントにふさわしい祝祭的な空間を作ってくれた。
前の方の人は勿論、客席の一番後ろの人、二階の人まで巻き込んだ、ステージは圧巻だった。
客席だけでなくて、参加バンドも、裏方のスタッフも、とにかくみんな喜んでた。
とんでもなくハッピーな空間だった。
以前は、ありとあらゆるフェスでトップバッターで出た。様々なアーティストのフロントアクトもこなした。いっつも一番若手で、スターター役だった頃、実はそんな時代って長かったなぁ。
そんなポリが、こんなとこで最後に出てきて、ちゃんと自分達のステージを貫いてるんだけど、イベント全体も引き受けて、しっかりと全員喜ばすって、素晴らしい事だなあと思った。
よくぞここまで、ここまで来たなあと思った。
奇しくも、ハイラインも10年、ポリも10年、
いつも同じとこにいたわけじゃないけど、同じ時間を生きてきたものとして、感慨深かった。
ハイ、長文ですいませんね。
今日はハイラインの人モードなんで、最後にもう一言。
来ていただいた方ありがとうございました。楽しんでいただけたでしょうか。また、こんなの有ったら来てください。
そして、全ての皆さんへ。これからもハイラインよろしくお願いいたします。10年たってもヨチヨチしてます、これからです。ホントよろしくです。
PS.この日の模様はスペースシャワーの番組「爆音アトモス」で二週に渡ってオンエアーされます。いつのオンエアなのかは聞いたんだけど忘れちゃったんで、今度また聞いときます。