俺の為に1秒

今日はLOST IN TIMEのマスタリングで青山まで。
いよいよシングルの3曲が完成して、あとは工場へ。
行かなくても作業は粛々と進むので、いいようなもんだけど、
打ち合わせたい事もあるし、ここで完成なので、終わり頃に覗きに行く。
1曲ずつ実に細やかに作業していくマスタリングのエンジニアの人って、あれは一体なんなんだろう。
いつも思うけど、特殊な人がやる特殊な職業だと思う、褒め言葉。
表題曲『まだ故郷へは帰れない』は今までにない仕上がりになったと思う。
声と曲がしっかりと、がっしりと新鮮に伝わってくるトラックになって、ほんとロストらしいロストの曲。
最後の作業は曲間を決めること。
ここはだいぶ好みでいい。
長めもいい、短めもいい、適当ってのもアリ。
配信で1曲のみでも落とせる世の中だもんね、iTUNEにいれこんだら曲間とか関係なくなるもんね。
でも、こだわったりしてる。
『翔び魚』が3曲目、最後の曲。
最後の最後『翔び魚』の終わりどうしよう。CDの最後はどうしよう。
アナログのプレイヤーで言えば、オートリターンで針が上がる瞬間は。
曲の最後の最後、楽器の余韻が無くなった頃合いかな、余韻プラスどのくらい?
どうでもいいといえばどうでもいいかもね、曲間すら意味が薄れてきてる今日この頃。
ちょっと遠くて見えなかったけど、誰かから
「1秒足しておいてください。俺のために1秒」って声がかかってた。
1秒はデカいだろうか小さい話だろうか。
その1秒はなんで欲しかったんだろう。いろいろと想像する事はできる。
その人にしか聞こえない空気の余韻があるのかもね、カーステでリピートした時に3曲めから1曲目に戻る時の事を考えてるのかもしれないね。
細かい理由はなんでもいいや。
「俺のために1秒」って言い切る奥底は、作り手のエゴだろうか。僕はそうは思わない。
そこにこだわらないと、マジックは起こらないような。
自分が心地いいことにこだわれば、それが万人に伝わる、そんな奇跡を信じたほうが、楽しいね、力強いね。
実はこれはラーメン屋やる時でも、掃除のバイトするときでも、彼にセーター編むときも必要なことかもね。
誰かはどっかでやってるね。
そんな小さくて大きなこだわりが詰まったシングルが八月にはお届けできるので、楽しみにしてください。
僕も楽しみです。