そういうおまえは

今日はね、いろんな事、いろんな人。
いい写真みたりイマイチな写真みたり、ウチに入りたい人に会ったり、辞めたい人に会ったりね。
楽しいことも悲しいことも。
いろいろあるわなあ。
映画でしか見たことないけど、急流に流れる丸太に次々と乗り移ってなんとか向こう岸に着くような、
そんな事やってんのかなあ。
それが15秒間の出来事か10年間でのストーリーかは別として。
なんて事も考えてみたり。


昔ね、学生だったときの事思いだしたよ、突然だけど。
結構、野球の強い大学だったんだ。
リーグ戦で大事な試合、優勝が掛かってる時とかは、なんとなく学内がホットだった。
授業が始まる前に、目配せがあって、やるか、おう。
熱気にあおられて、僕も始業と同時に立ち上がって
「今日は野球の応援に行きたいんで、休講にしてください」なんて教授に詰めよって。
向こうも「わかりました」なんてね。
あれはなんだったんだろうなあ。
教授もしゃあないと思ったんだろうか。単にやる気が無かったんだろうか。そのまま休講になって、全員出席扱いで、よき時代ではあったような。
実は全く学生野球に興味のない僕も、そんな行きが掛かり上、神宮へ。
なんとなく全体主義的な応援になじめずにいたら、試合は勝った。
勝つと必ず新新宿へ。縄張りは新宿らしい。
今はなくなった歌舞伎町の噴水に飛び込んだりね。
盛り上がってるけど、嫌だったなあ。
「お前何年」とかね。そこここで。
社会に出てみれば一年や二年の違いなんてあほらしいんだけど、そこでは重要な事柄。
いたるところで肩くんで、校歌歌って。
僕はね、生まれながらの辛口でもない。ましてや当時は大学生。
でもね、そん時も思ったよ、ああ、思ったよ。
あんたが日頃頑張ってんなら今日喜んでもいいよ、たまには息抜きも必要でしょ。
あんたは日頃、司法試験の勉強してるかもしんないし、他のスポーツの部活でしごかれてんのかもしんないし、自分の学費稼ぐために必死にバイトしてんのかもしんない。
そんな人は、自分で汗流してる人は、母校の野球に自分を投影して、羽目を外してもいいかもね、今日だけ。
でもね、そうでもないんだよな。
その日に騒ぐことだけがアイデンティティーのヤツだけが騒いで、飛び込んで、喧嘩して、ゲロはいてんだよな。
陽気になってるアンタは今日の勝ちには一切関係ないよ、頑張ったのは広沢とか竹田なんだよ。
勝ったのは彼らだよ。負けたのも彼らだよ。プレーしてたのが彼らだよ。アンタは今日は何したの。
一瞬でもアンタはなんかのプレーしたの。
そりゃ僕の事ですよ。
一切試合には興味なくてもずぶ濡れになってゲロ吐いてたのは僕ですから。
あれさあ、よくないよ。
「今日は勝ってよかった」
「今日は全くいいとこなしだ。あいつらどうなってんだ」
「お前も校歌歌えよ、声出せよ」
「俺たちの学校勝ったぜ、お前らどこのもん」
なんでもいいけど、そういうお前は誰なんだ。
そういうお前はなんかやってんのか。
走ってるの、止まってるの、見てるだけなの。
そんな事を自分に問いかけるのは、忘れないようにしたいなと、思ってるけど忘れがち。
だから忘れないように書いとく。
誰のためでもないよ。自分に向けて書いとく。