仕事の日常のひとこま

椿屋のシングル「幻惑」が来月発売なんで、そんな相談もちょこちょこ。
中田くんは絶賛プロモーション中。今日は九州かな、大阪はまだかな。
営業のスタッフは先行試聴の為の用意に入ったり。
僕らはやっぱ、CD店はかなり大きな力を持ったメディアと考えてる。
雑誌に一切のらなくても、店頭のパワーだけでどんどんCDが売れてくって事も何度も経験してるから。
だから試聴機に入るかどうか、POPあるかどうかは重要な問題。
POPはなんて読むのが正しいんだろ。ポップって言っちゃってるけど。昔気質な人はピーオーピーって言うね。
お店にあるカンバンみたいなもんね。ボードに貼ってあってさ。あるじゃないデカいのも小さいのも。
社員Aさんより相談
「2CDのPOPを500枚作るんですけど、業者で作ってもらうと10万円なんで、アルバイトで誰かに作ってもらっていいですか」
2CDのPOPって、CDの表紙を横長に2倍にしたサイズのミニボード。このタイプが店によくある。
さて、相談の件。
カラープリンタで出力して、ハレパネに貼って、後で切って、
材料費とアルバイト代いれても圧倒的に安い。
アルバイトつっても知ってる人だから、どうせなら知ってる人にお金渡すのがいいよね、そんなに多くないけど、嬉しいじゃんね。
10万で500枚って一枚200円か。高いんだろうか安いんだろうか、よく分かんないな。
簡単に業者にださず、やりくりして、考えていい答えだす姿勢はいいじゃんか。僕はそっちが好き。
アルバイトには先日退社した、Bさんに来て貰いたいけどどうかなと思ったんだけど、
失業保険を貰ってる最中なんで、バイトしない方がいいんだろか。
でもアックスのポリの時には物販、手伝いに来てたな。
あれはいいんだろうか。多分、アレは純粋な手伝い。
今回はどうしよか、バイト代は出ないけど、ご飯でも。えっそんなのアリ。報酬は報酬だから、ほんとはダメそうだからやめとこう。
どうせだったらスマートにアルバイト代が出て、お互いに嬉しいのがいいよなあ。


PVが出来てくる。
あっ、カッコいいね。監督はなんて人、あらまいい感じねなんて会社で話す。
社員Cが相談
「ベーカム何本にします」
あぁ、これいつも少々悩む。
PVはベーカムって形態で放送局に持ってく。
ねえ奥さん知ってました?ベーカムのべーはベータのべーですよ。
昔々のビデオの規格戦争、VHS対ベータってありましたよね、あのベータですよ。ベータのカムでベータカム。略してベーカムですよ。もちろんあのころのベータとは違うけど、ソニーの技術はこうして業務用ビデオの世界でキッチリと発揮されて、ベータカムが放送では業界標準になってんですよ、すごいですね。
用語解説から本筋に戻るけど、
ベーカムの本数はいつもちょい悩む。
だった高いんだもん。
放送局って実は一杯ある。
東京だけじゃないんもんね。地元の局、地元の番組って一杯あるもんね。
どこまで送ろっか。
ベーカムのコピーは油断してると一本5千円くらいする。
油断しないで安くやってくてるトコさがして、4000円くらいだっけか。3000円もあるかも。まとめる本数によるんだよなあ。
テープ代が高いからね。2000円とか1500円とか。それでダビングで1000円乗って。
だからテープは使い回したり。
そうそうVHSは渡しきりでいいんだけど、ベーカムは「要返却」が常識になってる。高いから。
要返却って書いてあってもオンエアー期間すぎてキチンと送ってくんないトコもある。
ちゃんと送り返してくれるとこもある。
発売日すぎたら、そんなに沢山使わないから、有る程度残して、あとは消して再利用したり。
再利用しすぎて、こないだダビング屋さんに叱られた。
5回も6回も上書きしたらクオリティ落ちますって。そうかそうなのか。
何回か使い回したテープを泣く泣く破棄する。だって千円だよ。


なんかお金の話が多いね。
でも、仕事していくって事は、お金の話から逃れられない。
志だけでやれるのは文化祭とか趣味とか道楽とか。
経済的に成立させるってのはとっても大事な要素だよね。特に長く続けるつもりなら。
それが一番かどうかは人による。
気持ちの方が大事とか、音楽の方が大事とか、いろんな人はいてもいい。
それも大事、あれも大事、そんなバランスの仕事がいいんでないだろか。
別に対立的なもんでもない。気持ちも音楽もお金も、他のいくつかも、どっち取るって事でもない。どっちも必要。全部バランスよく同居してるのが一番かな。


チラシを何枚作りましょか。社員D。
必要なだけ作ればいいような気もするけど、リクエストは15万枚。
予算は10万枚分しか予定してない。
15万枚ってすごいね。
明日アナタの家に届いたら寝るとこなくなるよ、きっと。豪邸だったら、そでもないね。
15万枚の根拠は。「えーと全国のイベンターさんが配れる枚数を集計すると」
ま、そりゃそうだよね。
例えば東京のイベンターの人にチラシまきを頼んで、
ブリッツ満員で3000枚だっけ、2800だっけ。とにかくブリッツで4回チラシまいたら一万枚こえるんだもんね。
そんなイベンターの人がありとあらゆる地方で、協力してくれたら、10万でも20万でも足んないよね。
でもま、予算は無限にあるわけでない。
印刷屋の月森くんに電話しようと思ったら、向こうから掛かってきた。ナイスタイミング。
彼が何か言う前に
「とにかく15万枚つくりたいんだけど、10万枚の予算でやって」と言ってみる。
「うーん、分かりました検討して折り返していいですか」と彼は電話を切った。
あれ、彼の用件はなんだったんだろか。その会話だけで良かったんだろか。ま、いっか。
月森くんは昔々はクラブQUEの受付だった。
今は印刷屋の社員。会社は全く違うけどなんか顔なじみの仲間っぽいんだよなあ。そんなのいいね。
家に帰った頃に電話があって
「同じ予算で12万5千枚まで刷れるようにしました」あらま、ありがとう。嬉しいね。


なんの話なんだろ。
今日はクリエイティブな場面ばかりでなくて、地味な場面でも、こんなとこにも工夫はあって、アイディアも必要とされてて、人の繋がりもあったりして、そんな日々の話をしたかったのね
値切って良かったってだけの話でもないのよ。
小さいレコード会社の日常紹介なんて気持ちだけど、どですかね。そんなワケで今日は面白かったんだよ、いろいろと。