ロストの野音

晴れたね、見事に晴れた。
リハやってる頃は日差しもあり、ポカポカして気持ちいい瞬間もあったけど、
本番の頃はだいぶ寒かった。

野音はいろんな人がいろんな思いを持ってる場所なんだね。
僕はなんだろ、ロッカーズが「涙のモーターウェイ」歌ってたシーンとか、スターリンが臓物投げてた事とか、初めてルースターズ見た100円コンサートとか、そんな事思い出す。
メンバー三人はそれぞれどんな思いを持ってるんだろう。
例えば、榎本っちゃんの今日の迷彩Tシャツは「SKA OF IT ALL」。
98年だったかな、スカ・パンクのイベントで。僕も見に行ってた。
榎本っちゃんも、それ見に行ってて、物販でTシャツ買って、今日はそれ着る。着られる事が嬉しいって。
今日のロスト見たひとは数年後に何やってて、何を思うんだろう。
その人がまた何年かあと、何かをやりだして、それが切っ掛けで別のだれかがなんかやりだして、
そんな繋がりあったらいいね、音楽でなくともいいけど、でもロストの話だから音楽がいいか。
「06年のロスト見たんですよ」10年後でも20年後でもそう言われる、そんな記憶に残るライブになればいいな。


海北がアコギ持って、弾き語りで新曲。
曲ではあるけど、始まるよって、決意宣言みたいなもん。
野音のステージも始まる、ロストの今年もこれから始まる。
メンバー二人迎え入れて、あとはひたすら曲やる。
曲間もかなり短くて、水飲む暇もチューニングする暇もなく、どんどん飛ばしていくさまは、
ボクサーのようなランナーのような。
結局、MCはど頭とアンコールで一回ずつあっただけだった。
僕には、その方が「言ってる」感じがした。
MCでなく、話でなく、曲で、曲並べるだけのシンプルなステージの方が、いろんな事言ってて、いろんな事伝わったって思った。
特別な事は何一つやってなくて、頭からお尻まで、ずっと演奏してるだけなんだけど、
こんなにグッと来るのはなんだだろう。
ロックってそういう事なんだろうなと思った。
膨らまして豊かにして多彩にしていくって楽しみ方もある。きっとそれはいつかロストもやるんだろう。
今日は、こうして研ぎ澄まして。一切余裕を持たず、全力でひたすら走り抜ける様に演奏するだけ。
こんなライブがこんなに似合うなんて、ロストかっこいいじゃん。あらためて驚いた。

8曲めだっけ、10曲めだっけ、
突然に気温が上がったように感じたのは、
ほんとに気温が上がったのか、
客席の熱気が上がったのか、
自分だけの事だったのか、よく思い出せないけど、確かにそんな事も。
要するにグッと来たって事だなあ。

うまく言えないけど、
何も変わってない三人だけど、確かになんか変わって、
中身がなんか変わって、
これからロストは何やろうとしてんだろ、どこに行こうとしてんだろ、って思いが膨らむライブだった。
うまく言えないから音楽って事でいいだろうか。
とにかく、ロストインタイムのここ数年間とこれからの数年を分ける、区切りの一日だったと思うし、
素敵な元旦だったと思う。これからいろんな事が始まる期待感がヒシヒシと。
今年もよろしくです。