昨日の続き

駒込ゲネプロが終わって、少し休んでさあて事務所に戻ろうかと思ったら、もう戻ってもしょうがない時間だった。
特に問題もなく手直しもなかったので、余裕見て空けてあった時間が余った。
今日は遅くなるかもしれない事を予想して、家の人達も外出中。家に帰っても誰もいないし、する事もない。
ぽっかり空いた夜の時間が、やたら愛おしい。
この時間に予定がないのも珍しい。もったいない使い方はしたくない。何しようかって考え出してソワソワ。
うん、映画でもみようかと新宿まで。
急に思い立ったのでなにも考えてなかった。カンバンみて考える。
なにがオーソドックスなのかは分かんないけど「ここはオーソドックスに『ナルニア王国物語』にしよう」と思いたつ。
次の回まであと60分ほどある。
まあいっか、今日は時間あるんだし。
夕食がまだだったので、ガード下で800円のウナギを食べる事にした。
焼けるまでビール。
となりにお歳を召したご夫婦が座る。
淀川長治を一段階気弱にしたようなお爺ちゃんと、岸田恵子を二段階優しそうにしたようなお婆ちゃん。共に70代くらいかな。
ウナギの値段表を見て
「中身はみんな同じだから。大きいと高いだけなんだから、味は一緒だから。小さいので充分」と地味な蘊蓄のお爺ちゃん。僕もそう言うこというお爺ちゃんになりたいんだよ、どういう意味かは自分でも分かんない。
いえ、ウナギが違うんですよと若い店員がつっこむけど、聞こえてない。余計な事いわんでよろし。
お婆ちゃんは終始ニコニコしながら
「山椒かけてあげますから、蓋とって」なんて言ってる。
そんな会話を聞きながら、ビールもう一本。
なかなか焼けないので、だんだん酔っぱらってきた。
あんな夫婦になれるなら、年取ることも悪くないなあと思いながら、満腹して、少々酔って、
結局、そのまま帰った。
映画はまた。
いい日だった。