ドア

どっかの家のドアの前に人が立ってた。
ドアがあいて中からその家の人が、飛び上がって「久しぶりー」。
30歳ぐらいの主婦っぽい人が、3回軽やかにジャンプして「久しぶりー」そして「待ってたよー」。
僕は自転車にのってたので、そんな光景は多分3秒くらいの時間だったんだろうなあ。
ヤケに記憶に残ってる。
なんだか羨ましいと思った。
どんなに待ちこがれてた人でも、僕は会った瞬間に飛び跳ねるような喜び方は出来ない。喜んでるくせにちょいと落ち着いた雰囲気出しちうゃんだよなあ。あんな風になれない。それが羨ましかったんだろか。
あんな風に飛び跳ねて迎え入れられた事あっただろうか。僕の方からはその人の背しか見えてないので、男か女かも分からない。年も分からない、表情も分からない。とにかく僕は、そんな風な迎えられ方された事ないので、羨ましいのかも。
迎える方、迎えられる方、結局どっちの人になりたいのかは、自分でも全く分からないんだけど、どっちかにはなりたかったんだ。
多分両方。