syrup16g

さっき読み返したんだけど、だいぶ長いかな。
17才の女子のレビューっぽい雰囲気もでてるかも。それが悪いとは思わないけど自分の年齢にはそぐわないかも。クールダウンするには時間が必要と思って3日ほど空けたけど、書き始めると結局クールダウンできてない様な気がする。そんなこんな含めて『日記』なので、勘弁されたし。

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また見に行った。
一回見りゃいいようなもんだけど、今日ばかりはそうでもない。
昨日より今日の方が断然良かった。なんつって一日目しか行けなかった人を不必要に悔しがらせようとしてるわけではない。
大阪と名古屋もかなりいい感じだったらしい、とりわけ名古屋は相当良かったって聞いてるけど、僕はどっちも見てない。結局、自分で見たものが一番でしかないんだよね、誰にとっても。
僕はたまたま東京に住んでる、二日間行ける環境にあった。でもそれ以外は行ってない。
僕がどの日を見たから、あなたがどの日に行ったから、どの日には行けなかったから、そんな事は小さな問題だと言い切っちゃえ。
今回のツアーのうち、どこも行けなかった人にとっても、そんな事気にすんなと言い切っちゃえ。
シロップはまだまだ続くバンドだ。今までのどのライブよりもっと素晴らしいライブを見せてくれる可能性が常にある。
僕らが最高だと思ってたライブが遠く遠く霞んでしまうような、最高の3階建ての様な事をやってのける可能性はいつでもある。
だから、僕らはsyrup16gと同じ時代に生まれた事を喜び、期待しよう。
*1

少し時間を置いて冷静に考える。昨日と今日の違いは僕の慣れかもしれない。よくよく考えて見ると、様々な思いと感想の原因はこっちのコンディションだけに起因する事なのかも知れない。
一日目は新曲についていくのが精一杯だったような気がする。詩の中味や演奏のディティールを聞き漏らすまいと、全身に力が入ってたのかもしれないと思う。
それは他のお客さんにもあったんでないだろうか。硬くなかった?大丈夫?
もしかしたら、メンバーの内側でもそれに似た様な事が起こってたのかもしれないけど。
今日は二日目だ、曲順は多少違っても、ちょっとした余裕はある自分がいる。そんな気持ちがこんなに楽しくなった理由だとしたら、なんだか申し訳ない。
そんな心の内側の事で、僕は人のライブをいいとか悪いとか言ってんだろうか。
うん、そうだ。音楽はそういうもんだと開き直ってしまうのは簡単だが、躊躇はする。
躊躇する気持ちが申し訳ないと言わせる。


「明日を落としても」から始まる。意外だったのでなんの曲か咄嗟に分からなかった。
続いて「センチメンタル」。これも意外。うーん、このセンチメンタルって歌ってる曲ってセンチメンタルって名前だっけ、新曲でないよねとセルフ会話。
家でCD聞いていれば絶対間違わないのだけど、余裕があるなんつってホントは上がってるんだろうか。なんで。
3曲目「途中の行方」。この曲いいんだよなー。ああいう事が詩になる感じって正にシロップだよなぁ。シロップだよ。昔から知ってて、好きだった曲のような気になって来る。
あー、ダメだ。今日はダメだ。普通にしてられない。大至急カウンターにビールを取りに行く。
思えば昨日は一杯も飲まなかった。そんな場合でない心境だったんだろうと振り返る。
3曲目で脳内になんかの汁がでてる気がする。これはなんでだ。 
昨日より明らかに染み込む量が違う。
えっ、今日、音デカイ?そんな理由?
そんなわけもないのだけど確かめられずにいられない。
そうだ昨日は下手(ステージ向かって左側)の後ろの方にいた。今見てるのは上手前だ。
たまたま通りかかったそこは、まず五十嵐くんが目に入り、五十嵐くんの肩越しに中畑くん、そしてマキさんという絶好のポジションだったのだ。
客席センターでは絶対に得られない構図、とにかく五十嵐くん越しにステージの全てを見るけど、中畑くん、マキさんもちゃんと見えるという場所だったので、僕は心の中で「シロップのファンはみんなその位置で見るべき」と一瞬思い、次の瞬間には「それはあまりに乙女チックな物言い」と反省した。
そんな事もあり、昨日見てた場所に移動してみた。
あら、やっぱなんか違うわ、場所のせいではないや。音がデカイわけでもない。
新曲が昔からやってた曲の感触で入って来る。
確認できたので、カウンターに行く。ビール。
あ、「ラファータ」これも好きだなぁ。
「傘が無い」みたいな曲あったっけ、そんなのねえよ、あっそう、でも胸に感触だけ残ってるんだけどなんて曲?
などなど、見てる事を忘れて時間が過ぎて行く。
この辺はもう忘我なので、なんかの比較とか確認とかは完全に放棄してる。
そう、そんな感じになりたくて来てるんだ。

僕にとってライブを見る事は重要な仕事でもある。
現在の仕事に関係あるバンドでも全く関係無いバンドでも、必ず頭の隅は冷静だ。
どこに行っても、比較したり、分析したり、感心したり、ケチつけたり。ちょっと音がいいとPAは誰なんだろうとわざわざ顔見にいったり、舞台スタッフの動きが気になったり、今日の動員は何人だろと手の中で『野鳥の会』ばりにカウンター押したり*2
そんなモードから抜けられない。
今日は違った。きっぱり抜けたっていうか、ナニ下らない事気にしてんのって気分になる。
そんな事は滅多にないので、心から感謝した。

アンコール。
生きたいよ 天才  落堕。あらま来ちゃったよ。永遠に続いてくれても構わないけどそんな時間か、アンコールは嬉しくもあり悲しくもある。もうすぐ今夜が終わっちゃう。とりあえずビール。
「リアル」大笑い。
言ってなかったっけ、僕はほんとにカッコいいものを見ると笑っちゃうんだよ。
泣いて笑ってまた泣いて、そんで最終的には笑っちゃうんだよ。感情のその回路とその回路がくっつくみたい。
「リアル」大笑い。
「翌日」泣く。大人なので涙は流さないけど充分泣く。
なぜか僕は今日の一曲目を「翌日」だと勘違いしてた。「明日を落としても」と「翌日」を取り違えてたんだ。そんな事あるんだね。なんか緊張してたんだろうか。
「翌日」を演奏されて初めて思う。「あれ。これが翌日じゃん。そうなると1曲目ってなんだっけ」
勝手な勘違いとは別にステージは進行する。ほんとに終わりそうだよ。終わんのか。
ムカデ。
「歌ってくれ」おっと、びっくりした。
言ったよね。今そう言ったよね。アンタが僕に言ったよね、ようし分かったよなんぼでも歌うよ、早く言えよ。
とは思うもののAメロ一部とサビしか思い出せなかった。役に立たずゴメン。いろんな事が飛んで行ってしまったのよ。元はと言えばあんたのせいよ。

「真空」
あら来ちゃったよ。昨日もこの曲で終わったんだよ。どうすんだよ終わんのか、そんなにアゲげといて帰れってか、などとベランメエになる自分は誰なんだ。
そんな気持ちを知ってか知らずか、4回目のアンコールは「Reborn」。
いいね。
いいよね。
最前にへばりついて頑張っちゃってる汗まみれのアイツも、後ろの方のツンとした美人も、ひたすらイチャついてるイケ好かないカップルも、早く終わると早く帰れる掃除のバイトの人もみんな、抱きしめたくなったりはしないけど、「あん時、シロップみたよね、ね、見たよね」と何年か後に語り合える様なそんな気にさせる「Reborn」だった。


その日が終わるのが惜しくてグダグダとリキッドに残る。
リキッドが閉館の時間になり、数人と移動して小さく飲む。
しばらく経って、そこの店も終わりなので帰る。勝手に帰ればいいけど、なにやら別れがたく、送ってもらう。
うん、今日が終わるのがいやだったんだ。それだけだったんだ。
特別に、特にいい一日。

*1:う、ちょっとJAPANっぽい大袈裟さだった?そうでもない?

*2:カウンターのくだりは、そりゃうそ