とりあえず100分ください。

とうとう出ちゃった。
10月の10日から随分時間がたったなぁ。
いろんな事が起こったような、結局ちっとも何も変わっていないような。

9/30に僕と手塚くんが打ち上げで会って、「野音見にいきたいっすね」「来るなら撮ってよ」「そうっすね」
記録用でいいやと思ってた。
三日ほど経ってから考えた。なんだかオシイ。
別に体が空いてんなら、クルー引き連れて本気で撮ればいいじゃないか。
10/3に「DVD目指してとりたいんだけど」「マジすか」「マジです」と手塚くんに電話。
コンサートスタッフも事務所のキークルーも快く受け入れてくれた。
そんな事はほんとはおかしい。ありえない事がありえたと思う。

野音が終わって一週間ほどたって、未編集のビデオを見てみる。
音も絵も手が着いてないただのヒキカメをずーっと見てると、頭痛がして来た。
なんだか遠くの方の暗いところでもぞやってる絵が延々続く。目をこらして見てると偏頭痛になった。
これは出せるんだろかと自室で暗澹と。
そりゃそうなんだよね。なんにもやってないんだから。

そんな事も今は昔。
プロってもんはやっぱプロだ。
まず、音の方が岩田くんの手でミックスされる。マスタリングは前田さんで、迫力ある音になった。
絵は黒田さん。楽しみ苦しみながら、どこにも無さそうなキレた編集をしてくる。やっぱりあの人はなにかおかしい。オーサリングは柳幸さん。見えないものまで見えて来るようになる。恥ずかしながらオーサリングってすげえんだなって初めて思った。

黒田スタジオへ夜な夜な向かった事も妙に懐かしい。ま、そんなに何年も前の事でもないんだけど懐かしい。

サンプルが出来て方々に持っていく。
岩田くん感動。DVDを届けてすぐ電話くれた。
黒田さんは完成品見てウルウルしてたらしい。編集でさんざん見てるのに変な男だ。
手塚くん喜んでる。
なんだ身内だけか。そんな事もないから大丈夫。まずは身内が胸を張れないようなものは駄目なんだ。

僕はどうか。
正直に言ってしまうと、見過ぎててなんとも言えないや。
ほんとに何度も見たので、すっかり自分の内側の事になってしまった。自分の顔を気に入るとか気に入んないとか言ってらんないように、これがこれなんだ。とにかく、これが出る。

編集が完成した日、オーサリングが終わった日、プレス工場から検証盤が送られて来た日。何度となく確認しなくてはならなかった。
何度も見てる映像なんだけど、オープニングが始まったら席を立てなくなる。ちょっと流して見るつもりだったのに、やっぱり最後の最後まで見てしまう、そんな夜が何度も有った。これは本当。いまでもそうだ。

時には「あー野音行きたかったなぁ」と大嘆息してみる。オイオイお前行ってただろ。でもそんな気にさせる映像だ。

なんだかんだ思いを綴ってもまぁ、これは世に出る商品だし、受け取った人、実際に目にした人の感想の方がきっと正しい。

だから、やっぱり見て欲しい。
オープニングから一気に見て欲しい。
とりあえず100分ください。
黙って100分。
本編は95分だけど。

トイレも済ませてから。
出来れば家族やルームメイトが寝てから。
酒はあってもいいけど、氷が解けると換えにいったりしないといけないので煩わしい。出来ればポットでお湯割りがいいと思う。いやそれも気分じゃないな。やっぱ、無くてもいい。余計なお世話だ。分かってる。もう黙れ。

とにかく任せました。

なんだかんだ言いたい事は尽きないけど、もうそんな頃合いでもない。
あとは世の中に出て行くだけですね。