daimas2004-11-28

今日は行楽には行かず、ちょっと離れたところのスーパーに行く。
自転車2台で家族4人が移動するさまは、見慣れぬ人には変でも我が家では普通。
スーパーの2階にはちょっとしたゲームコーナーがある。
UFOキャッチャー型のクレーンゲームも4台ほど。
これが、みるからに甘いのである。
8年程前、UFOキャッチャーは相当にやりこんだ。ほぼ毎週末UFOキャッチャー。ありとあらゆるものを取った。大抵は人にあげたりしてたのだが、つい最近までジッポが20個ほど、ぬいぐるみが段ボール3箱ほど家に余ってた。
一時は極めたと真剣に思ってた。プロになろかと思ったが、そんなプロは喰えそもないのが残念だった。
野球の川上さんが全盛期に「ボールが止まって見えた」と言ったのは有名だが、僕のキャッチャー全盛期においては「クレーンが腕の一部になった」という名言を残した。誰も聞いてないけど、残したんだよ。
一日中やってると、ある瞬間、クレーンと腕が繋がっているような、腕の延長がクレーンのような境地にはまりこめる。不思議な経験だったけど、そうなるともうなんでも取れちゃう気になる。

そんな僕が、このスーパーのUFOキャッチャーを一瞥した。
甘い。
特にチョッパー。
とれそなフリさせて置いてとれない設定なのが、店の手なのは百も承知。
チョッパーが取り出し口にひっかけてある。
小学生相手とは言え、こりゃ軽すぎる。
こんなもんとれなくてどうする。バカにしてんのかと、なにやらムラムラする。
軽く1プレイ200円。はずれたけど、ここはプロっぽく「クレーンの癖をみただけ」なんてつぶやく。
2プレイ目、とれちゃった。
取り囲む小学生から歓声があがる。うちの子達も父を尊敬のまなざしで。
なんだやっぱり甘いじゃないか。
調子に乗って、次はモモちゃん。

なんとなく2プレイ。400円。
あれ、ちょっとクレーンが緩い。ひっかかるけど力が弱い。
それでもモモチャンの重心さえ読み切れれば、こっちのモンとあと400円。
なかなか手強いぞ、脇の下に差すのはどうかとか試す。またの間にクレーン差してみる。狙いはバッチリ、ちゃんとそこに行く。でも落ちない。
わざととんでもない遠くの方にクレーンを落として引っ掛ける通称『カスリ』などの高等テクも試すのだが、さっぱり。
周囲の小学生は「人間あきらめが肝心だよ」
なんだよお前さっきすげーって言ったじゃないか。
とてもやりにくくなって来たので小休止。小学生軍団がパチンコに移動したので再開。
やっぱ駄目だ。
そうこうしてる間に、店員が4台のクレーンゲームのガラスを開けてなにやら作業。
わざと取り出し口に乗っけてるぬいぐるみを、普通の平置きに変えてるではないか。
そうか、サービスタイムだったのか。
「ここまでつぎ込んだんだから、この状態でも少しやらせろ」とは言わない。
そう主張して取るのも意地なら、黙って店のルールに従い、今日はクールに引き下がるのも意地なのだ。

モモちゃんは平置きに戻された。あんなに重くて、クレーンがあんなにヤワに設定してあったら。もうどうやっても取れない。冷静さを取り戻した。

思い出した。どんなに絶頂期で絶頂モードでも、自由にクレーンをあやつれるだけだった。思いどおりに動かせても、決してとれない景品もあるんだった。
あーそれが、あのモモだ。
それ見抜くのが一番大切だった。見極めが8割のこの世界なのに。やるまえに勝ってるのがプロなのに。
うーん、ちょっと楽しんじゃったか。やりたいって気持ちを押さえ込まないとなぁ。
やっぱり僕はプロになれない。 いや、いないけどね。