キングブラザース

今日はロフト。set you free銀杏BOYZの企画。
BAZRA、PASSING TRUTH DRIVE、フラワーカンパニーズKING BROTHERS銀杏BOYZの5バンド。
なんだこりゃ。
セッチューが濃いのは分かるが、今日は濃すぎだ。ありなのか。
始まってみるとやっぱり濃かった。
出演者の名前だけでも充分凄いのだが、この日は出たバンドがいつにも増して異様に高いテンションを発揮してたと思う。そんな場所でやれるバンドは幸せだと思う。いい土俵をありがとう。

中味も濃く、時間も長いこの日の事を全部言うのは無理だし、それぞれ2行ほどのコメントでさらっと書き流すのも何か失礼な気がするので、思い切って今日は、この日のキングの事だけ言いたい。

やる気で来てた。
ま、いつもやる気なんだけど。今日はもう本番前からムンムン。
ドアタマから攻撃的にやたらやかましく、ハイテンションで轟音出す。
いつもの彼らでいつも以上。
今度のドラマーもこりゃスゲエな。野性的で繊細な音。
しかも、ルックスで言ったらあんなに裸の似合う人もいない。
フロント二人のスーツがますます際立つじゃないか。
挑発的で突き放し目の数曲後、ケイゾウが「まぁ踊ってくださいよ」と一転してポップな味のナンバー。
あら、こんな曲もあったんだ。ほんとに客も踊ってるぞ。
少しあったかいこんな曲もキングがやるとキングなんだな。へぇいいなあ。
轟音モードに戻る。
凄いよぉ。何も考えられ無くなっちゃうよ。出来ればウチの子達には見せたくないよぉ。
カッコいいなあ。

とても昔、田舎でテレビ見てたら、ストーンズのライブ映像が流れてた。
親父が真剣な顔で「こいつら頭おかしいんだべ」と言った。僕はその頃中学生、偶然チャンネル合っただけでストーンズにはまだなんの興味も無かったけど、なんだか親父にムカついた。松山千春は褒めるのに。
てな事を突然思い出したり。
ただただ口空いて、よだれ出そうになったり。

いつのまにか人を掻き分け、ケイゾウが客席の真ん中へんで歌ってる。
満員だけど、そこにいる。いるだけじゃなく、ちゃんととマイクはマイクスタンドに乗ってる。ギターも弾いてるよオイ。自分で無理矢理降りて来たくせに、客がぶつかると明らかにイヤそう。だから今日は満員なんだって。
マーヤも客席でギター弾いてるが、こちらは空中。客の手と頭に支えられてなかなか落ちてこない。
ほんとに落ちてこないなぁ、そんだけでも凄い。
ようやくケイゾウとマーヤは客席で二人揃う。
ステージから目一杯に伸びたマイクのケーブルとギターのシールド、それが二人いるもんで計4本、黒々と這ってる、あるいは頭上に浮いてる。
何が起こってるのか、さっぱり見えないけど、異常な空気、これは確かになんか凄い事に立ち会ってるぞ。
演奏してるのか客にぶつかられてるのか分からない、興奮と混乱の一曲が終わるとケイゾウは言った。
「じゃ最後の曲です」
笑った笑った、カッコいいよぉ。僕は最高にカッコいいものに出会ったら、笑っちゃうんだ。
死にそうに笑った。
こんなんなってて、まだやるつもりなんだな。やるんだな。まだ。
下でやってるんだから見えてる人はとても少ない。でも会場中が熱い。
一体これはなんなんだろ。
ロックなんだよ、ロールなんだよ、キングなんだよ。これだったんだ。
完全に終わってからも、動けなかった。

随分昔から知ってるような気がするけど、僕が見たキングでは間違いなくベスト1。

別に、ステージから降りたのが良かったとか、そういう事では全くない。
あんなもん無くても最高によかった。
あんなんなっちゃうのも、分かる。
元々のエネルギーの量がそうさせるだけだ。そしてそのエネルギーは僕らが求めるロックのツボに、怖いくらいダイレクトに流れこんでくる。
今日は良かったなぁ。
次回も良かったら、そりゃまいいさ、おめでとう。別にそうでなくても構わない、最高ってそういう事でしょ。
今日、それを目撃できて体感できただけでもう本望。ありがとう。