ジェッジ・ジョンソンと河本くん

今年の始めに代沢レコードからジェッジ・ジョンソンのアルバムを出した。
知る人ぞ知るってのはカッコイイけど、スタッフとしてはもっと広めたいところ。
次のアルバムが12月に出る。
いろいろ計画はあるが、まんずは存在感ある「アーティスト写真」を撮りたいと思った。
アー写って呼ばれてる。
ロックは打ち出すイメージや制作物はとても大事と思う。だからチラシや雑誌で使われるアー写は大事。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTはチラシ一枚、はがき一枚にも決して手を抜かなかったのは有名な話。
相談相談、我が社の大会議のテーブルにものっかり、与田くんは「ビジュアルでどうですかー」という。
ホントかよ。
僕は僕で『サイバーでどう』などと言う。打ち込みもあるし。
水族館がいいとか、森がいいとか、『ユーミンの時のないホテル』はどうかなどなど、議論百出。
収拾が付かなくなりそうだったので、取りあえず、「ビジュアル系」と『サイバー』に集約してみる。
大丈夫、大丈夫、真剣に丁寧に考えてるから。
元がいじられてそうなるって事でなく、その人はそのまんまで、はまる調味料ちょっと足したら、きっとカッコ良さが一段階上がると感じてるんだから。
焼きソバは焼きソバ、僕らはどんな青のりがあうのか、紅ショウガがいるのかいらんのかを考えてるんだ。
「おーい、お前ら、明日からビーフンになれ」とは決して言わない。言わないよ。

で、誰に写真とって貰おうかって事になった。
つい先月知り合った、河本くんに頼む事にした。
彼はsyrup16gのライブ写真をずっと撮ってる。野音のライブレポートで、今の号の雑誌に出回ってる写真は全部彼が撮った。
音楽と人』でLOST IN TIMEの写真も撮ってたな。
写真は好きなのだが、仕事人としては「ダメ」な方に分類される。
例えば、フリーの癖に名刺が無い。
くれっつっても、「今名刺ないんです」と気弱に答える。
3回聞いて、3回とも同じ答えだったので作る気がないんだろう。
連絡先が僕の携帯のメモリーにしかないのは、具合が悪いんだけど。
でもま、写真はいいんだよ。
昨日、アー写を撮りに行った。
先週、こんなイメージでどうって相談したら、彼は熱心にいろんな場所で試しどりのポラロイドを撮って来た。
熱心だなぁ。どれもイイ。こりゃいい写真になりそうだ。
撮影場所を見つけに行く事をロケハンと言ってるのだが、こんなに熱心にロケハンしてくれる人も珍しい。
嬉しい。
水族館以外はロケハンした場所、全部候補に挙る。ゴメンそこは僕が提案したんだけど。
こんな人には一体いくらの撮影料払えばいいのだろう。熱意には答えないと。
聞いてみると「野音の時も貰ってるし、今回はタダでいいです」と答える。
いや、そうじゃないだろ。そう言われると困ったなぁ。そんな訳にいかないだろ。
どうすりゃいんだ。
折角なんだから交渉しろよ。先に白旗揚げられたら、こっちが悪人みたいだろ。
やっぱ仕事人としてはダメなのか。

アー写撮影は昨日。
僕も行こうと思ってたのだが、遅刻したら置いて行かれた。いやいや、打ち合わせだったんだが。言い訳。
メンバーと河本くんと我が社の担当ウソツキさん(仮名)の乗った車はドンドン進んで行く。
砧公園から始まって、都内グルグル回り、サイバーな香り漂う電通ビルにも行き、許可取ってないと追い払われたり、レインボーブリッジまで足を伸ばしたり、ほんと長ーーい道中で、置いていかれて良かった。
全員を載せた車は河本くんが手配した。
運転も河本くん。
それで、なんでタダなんだ、こっちが困るだろ。
レインボーブリッジからの帰り道、「プシュンプシュンと車が止まりました」とウソツキさんから連絡。
なんの事はない、河本くんがガソリン切れに気がつかなかったそうな。そんなの有りか。
仕方なく、メンバー含めた全員で、車内にあったペットボトル持って、ガソリンスタンドまでダッシュ
「すいませーん。ガソリン売って下さーい」
ガソリンスタンドのおっちゃんは苦虫噛み潰した顔で
「そんなもんにガソリン入れられる訳ねーだろ」
そりゃそうだ。
そりゃそうだ、免許持ってるんならそれくらい解れ。
幸いおっちゃんはいい人だったようで、ガソリン用のポリタンク貸してくれたそうな。

ガス欠でエンストする人の噂は久しぶりだ。山の中でもないのに。
ペットボトルはあんまりだろ。
大丈夫か。ほんと。だいじょぶかー。

でもなぁ、写真はいいんだよなぁ。

上がりは明日。楽しみだ。